行雲流水

趣味の関連など。かきたいことをかきたいときに

都築圭と水 03. 海

 本記事は2020年12月20日にOnline SideM学会にて私が発表させていただいた内容をまとめなおしたものになります。モバイル版アイドルマスター SideM イベントストーリーやカードセリフ等のネタバレを多分に含む内容となりますことをご留意ください。

 

01. 導入 [ https://rohdea68.hatenablog.com/entry/2020/12/23/213642 ]

02. 雨  [ https://rohdea68.hatenablog.com/entry/2020/12/23/234015 ]

 

 

 本記事では、都築圭と海について取り上げます。

 

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 ソロ曲であるSanctuary World においては、アイドルになる前の都築を指して上記のよう描写がなされています。

 Sanctuary World は個人的に本っっっっっっっっっっっっ当に思い入れがある楽曲ですので詳細な考察はまた別の機会に記事にさせていただくつもりです。

 

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 また初期(前記事で触れた虹の音楽祭よりも前)の 2015年8月24日~8月31日に開催された「パラダイスリゾート2015(以下、パラリゾとします)」では、

都築圭の ①音楽以外のものごとへの盲目さ(視野の狭さ) や ②自己肯定感の低さ があらわになりました。

 

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 撮影の合間、自らにきこえた音に惹かれた都築はひとり海に足を踏み入れその音を楽しみます。それだけならばともかく、彼はそのまま楽しげな様子で海に身を投じ(という表現が正しいのかはわかりませんが)水中で「命の音」に没頭してしまいます。幸い麗さんが手を引いてくれたのでそのまま沈むことはありませんでした。もちろん麗さんからは叱られてしまいますが、どういうつもりなのかと問われて衣装を濡らしたことを謝ったり、都築自身のことを心配しているのだと告げられても他者に心配されたこと自体を想定していなかったという反応を見せます。

 

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 しかし同じ“海” を舞台にしていても、2018年8月9日~8月15日に開催された「4th Anniversary Live ~心強い仲間~」での都築は全く異なる描かれ方をしています。

 

 まず【双翼の旋律】というカード名について。

 これまでAltessimo を形容する際にいくらかもちいられてきた表現に「比翼の鳥」ないし「比翼」という言葉があります。比翼の鳥とは、目と翼を一つずつしか持たず常に雌雄一体となって飛ぶ空想上の鳥を指します。[ デジタル大辞林松村明 監. 池上秋彦他 編. (C)Shogakukan Inc. ] 比翼の鳥は番の二匹が揃わなければ外界へ羽ばたくことはできません。

 それに対して「双翼」はあくまで左右の翼がある、という意味合いの言葉になります。

 すなわち、Altessimo の2人がともに翼を得て旋律を紡いでいる 姿がこのカード名のみからでも伝わってくるわけです。

 

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  またイベントストーリーでは(前々記事、前記事で触れた)都築が麗さんのために作る曲について、今度は麗さんから都築さんに対しての相談の様子が描かれます。

 この時点ですでに曲は楽譜の形で手渡されており、麗さんは魂を吹き込むべく時折練習をするもどうしてもしっくりこない、というのです。

 一見すると音楽について類稀なるギフトをもつAltessimo の2人でそんなことがあるのか? と思ってしまいますが、都築は以下のように返します。

 

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 その曲は確かに麗さんのために作ったものだが、自分は無意識に麗さん個人ではなくAltessimo 2人の音をイメージしてしまっていたと。

 麗さんのために作る曲が麗さんだけでは完成しない、というのは多少身勝手なことのようにも思えますが、これまでAltessimo 2人で歩んできたからこそのことだと考えると、彼のパートナーへの愛を感じざるを得ません。

 

 この都築の言葉を受けた麗さんは「わたしは、この歌を都築さんと歌いたいです!」と言い、都築は「この広い海に僕たちの歌声を響かせよう」と返します。

 

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 さらに、5th ANNIVERSARY DISC に収録された楽曲であるMermaid fermata は かなしみや激情をも受け止めて聞き手の心に寄り添う曲となっています。

 歌詞の一部をスライド上にお示ししましたが、特に

「僕らの中を巡るさえずりは lamentoso …一人だったら」という部分について。

 この「一人だったら」というフレーズは、「今は二人だから」というようなAltessimoの2人が強調される表現ではなく、「今は一人じゃない」という文言です。 すなわち、Altessimo の2人が互いに力を与えあっているだけでなく、この曲を奏でるAltessimo がお互い以外の周囲の人々からも力を得ていること、またこの曲を聴く独りの誰かに対して寄り添う曲としても意味を持つ表現であるのではないでしょうか。

 余談ですが、発表資料作成後Twitter でMfの解釈について調べていた際に動揺の考えを抱かれている方のつぶやきを拝見しました。ぜひ一度お話してみたいです

 また、発表後のあくにんさんとのお話でも触れさせていただきましたが、Mermaid fermata は これまでのAltessimo“を” 歌う楽曲から、Altessimo“が” 歌う楽曲への変化が非常に印象的な楽曲です。このことに関しては多くのアルテPや麗さんのお声を担当されている永野さんからも言及されておりますので、本記事での扱いはこの程度にとどめておきます。

 

 撮影の合間に一人海に入り自分のことにも周りのことにもあまり目が向いていなかった都築が、4th ANNIVERSARY LIVE のときには2人で奏でる音楽に自信を持つようになり、5th ANNIVERSRY DISC では他者に届けるための歌を紡ぐようになるわけです。

 

 

次の記事では、Altessimo の新曲、都築圭と水についてお話させていただく予定です。